遺伝子組換え作物

遺伝子組換え作物(GMO)の視察でアメリカ合衆国に来た。アメリカはバイオテクノロジーを用いることが、従来の育種技術に比べて特別なリスクをもたらすものではないという判断で、既存の法制度によりGMOを規制している。そのため、規制は日本に比べるとはるかに緩く、GMOの開発・実用化が効率的に行われている。一方、カルタヘナ議定書に批准している日本では、GMOの使用等を規制する「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」を新たに制定した。GMOの実用化はおろか、試験栽培をするのも難しいほど厳しい規制がなされている。
 強く感じたのは、カルタヘナ議定書の存在が、アメリカにGMOの独占市場を作り出しているということ(157の国・地域が批准しているにもかかわらずアメリカはカルタヘナ議定書に批准していない)。一方で、カルタヘナ議定書の存在により日本の国内種苗会社が守られているのかなとも感じた。いずれにせよ、日本とは全く違うコンセプトを持っているアメリカの政策は印象的だった。
写真は耐虫性が導入されたコーン