組換え植物

1週間筑波大で行われた分子技術の実習に参加した。
筑波大学は遺伝子組換え研究の先端をいっており、屋外の圃場では遺伝子組換えにより耐塩性が増したユーカリが植わっていた。樹木では国内初の圃場実験だったそうだ。
温室ではミラクリンというタンパク質を作り出す組換えトマトが育てられていた。このタンパク質は酸味を甘く感じさせる物質だ。生活習慣病患者や肥満の人々のための甘味剤としてその利用が期待されている。もともとミラクリンは、熱帯原産の樹木ミラクルフルーツが生産する物質だ。ミラクルフルーツを熱帯以外で栽培したり、ミラクリンを大量に得たりすることは難しいため、組換え植物が作られたそうだ。
自然の中で長い時間をかけて獲得された生物の形質を、人間は一瞬のうちで変えることができる。一方、生物の形質が自然界の中でどうやって獲得されたのかを明らかにすることは非常に手間がかかるし、明らかにされていないことだらけだ。形質が獲得された背景が分からないのに、形質だけ切り取ることができるなんて、なんだか不思議というか奇妙な感じ。