最近小説orミステリーをよく読むが、どうも読み始めたら止められないので困る。

半落ち 横山秀夫
昔ベストセラーとなったミステリーで映画化もされている。最後の結末は胸が締め付けられた。直木賞候補にもなったが「受刑者が骨髄移植のドナーになれないという事実を誤認している」として受賞に至らなかったそうだ(過去に例がないため事実誤認だとは言えないようだが)。たとえ事実と違っているとしても、大部分の人には違和感が無い設定だったからベストセラーになったのだろう。
フィックションは創作なのに「大部分の人が気にならない事実と違う設定」が落選理由なのがちょっと驚き。


邂逅の森 熊谷達也
マタギを題材にした力強さを感じさせる小説で、山本周五郎賞直木賞のダブル受賞を果たした。
フィックションなんだけど、著者のマタギに関する重厚な知識を感じさせる。また、実際にクマ狩りに参加した経験でもあるのかと思わせる。その現実感がこの物語の深みを作り出している感じがする。

フィックションをフィックションと感じさせない現実感が大切だなと思う。上の小説ではその現実感を味わえなかった審査員がいたということかな。